人材マネジメント・人材育成
小糸は、「人材育成」、「労働安全衛生」、「働き方改革」、「人権尊重」をマテリアリティ(優先課題)の一つと定め、「コミュニケーション&コラボレーション」をキーワードに、一人ひとりの持つ知識・経験・気づき・問題意識の共有を多様な手段により促進し、全員参加で課題に取り組む生き生きとした職場づくりを目指しています。
また、専門知識・技能に加え、論理的思考や多様な表現手法の習得に向け、研修範囲・内容を拡充、体系的な教育研修制度を構築するとともに、達成度評価の仕組みの再整備などを行い、一人ひとりが確実に成長を実感し、新たな挑戦に取り組む人材育成を図っています。
小糸グループの更なる成長に向け、ワークライフバランスの充実や女性・高齢者をはじめとする多様な人材の活躍推進、人事諸制度の刷新などにも取り組んでいます。
小糸では、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境を整備するため、ワークライフバランスの充実に取り組んでいます。また、コロナ禍を契機にニューノーマルな働き方として在宅勤務制度を導入するなど、柔軟で多様な働き方を推進しています。
長時間労働の抑制
- 毎月、部署別の残業時間を常務会等で報告するとともに、業務効率化により残業時間を削減
年休取得の推進
- 年休取得推進委員会を設置し、年次有給休暇取得目標(年15日間以上)の進捗管理や取得状況のフォローを実施
育児や介護との両立支援
-
育児休業(子が満3歳の4月末まで)、育児短時間勤務(子の小学校卒業まで)制度の充実
- 介護休業は1年まで取得可能
- 希望者を対象とした仕事と介護両立セミナーの実施
在宅勤務制度の導入
管理間接部門において、希望者は在宅勤務を実施
小糸では、ダイバーシティの推進に向けて、女性・外国人・高年齢者などさまざまな人材の活躍を推進するとともに、非正規社員の処遇改善に取り組んでいます。
女性の活躍推進
- 総合職・管理職登用者や新卒・中途採用者の拡大
- 女性社員を対象としたキャリア形成教育や女性を部下に持つ上司を対象とした女性社員育成研修の実施 等
外国人の活躍推進
- 研究開発強化に向けた外国人の採用
- 大学と連携した留学生の採用活動強化 等
高齢者の活躍推進
- 60歳以降も希望者全員の再雇用を実施 等
非正規社員の処遇改善
- すべてのパート従業員を正社員として登用(2019年) 等
小糸では、さまざまな視点や価値観が社内に存在することが持続的な成長を確保する上での強みとなり得ることを認識し、女性・外国人・中途採用者等の管理職登用を含む幅広いキャリア支援や環境整備に取り組んでいます。
女性の管理職登用
女性の管理職比率数を2025年までに3.0%(2023年4月時点 2.5%)とすることを目標に女性の積極的な採用・登用、育成促進、働きやすい環境整備に取り組んでいます
外国人の管理職登用
外国人管理職比率を2025年までに1.0%(2023年4月時点 0.3%)とすることを目標に採用・登用、働きやすい環境整備に取り組んでいます。
中途採用者の管理職登用
即戦力人材の採用、高度な専門性を有する人材の中途採用についても積極的に推進しており、中途採用者管理職比率を2025年までに10.0%(2023年4月時点 9.5%)とすることを目標に採用・登用を進めています。
単位 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2025年 (目標) |
|
---|---|---|---|---|---|
女性管理職比率 | % | 1.4 | 1.8 | 2.5 | 3.0 |
外国人管理職比率 | % | 0.3 | 0.2 | 0.3 | 1.0 |
中途採用者管理職比率 | % | 7.5 | 8.0 | 9.5 | 10.0 |
※実績は各年4月時点。
小糸では、従業員のモチベーション向上に向けて、福利厚生の拡充に取り組んでいます。育児・介護制度や、財産形成制度、住宅補助制度、学費・資格取得費用の補助などの各種制度の提供を通じて、従業員が安心して働くことができる環境づくりを行っています。
福利厚生制度 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
育児制度 | 正社員、準社員 | 育児休業制度:子が3歳になるまで育児休業を取得可能。また、育児休業の一定期間を有給化(年次有給休暇を使用しないで休業前賃金の手取り額の100%を保障)。 育児短時間勤務制度:子が小学校を卒業するまで、短時間勤務を利用することが可能。 |
介護制度 | 正社員、準社員 | 介護休業制度:要介護状態の家族がいる場合、介護休業を取得することが可能。 介護短時間勤務制度:要介護状態の家族がいる場合、介護のための短時間勤務が可能。 |
財産形成 | 正社員、準社員 | 従業員持株会:従業員の自社株式取得にあたり、毎月の積立金の10%を奨励金として支給。 財形制度:一般財形貯蓄、住宅財形貯蓄、財形年金貯蓄から、ライフプランに合わせた貯蓄を行うことが可能。 |
確定拠出年金制度 | 正社員 | 会社が掛金を毎月拠出し、社員が自ら年金資産の運用を行う制度。社員が掛金を上乗せするマッチング拠出も利用可能。 |
住宅補助 | 正社員 (家賃補助、住宅ローン利子補給制度は準社員も対象) |
独身寮・社宅:円滑な業務と社員の負担減のために、会社が社宅・寮を用意。社有物件が満室の場合や、通勤エリアに社有物件がない場合は、外部物件を会社が借り上げ、独身寮・社宅として扱う。 家賃補助:個人で外部の賃貸物件を契約する従業員には、家賃補助を支給。 住宅ローン利子補給制度:従業員が住宅を取得する際、ローン利子の一部を補助。 |
学費・資格取得費用の補助 | 正社員 (自己啓発補助は 準社員も対象) |
奨学金支援:社員に代わり、会社が奨学金の返済を一部負担。 自己啓発補助:200コース以上のeラーニングプログラムを用意しており、受講者には受講料を50%補助。 |
休暇制度 | 正社員、準社員 | 年次有給休暇:入社年次に応じて年次有給休暇を付与。1日単位の取得の他に、半日単位、1時間単位で取得可能。 積立保存年休:失効した年次有給休暇を積み立て、通院、育児、介護等に利用することが可能(最大60日)。 |
食事補助制度 | 全従業員 |
社員食堂:栄養バランスを考えたメニューを低価格で提供。 食事手当:食堂のない事業所に勤務する従業員に対しては、食事手当を支給。 |
勤続表彰制度 | 正社員、準社員 (永年勤続旅行制度は正社員のみ対象) |
永年勤続表彰:勤続10年/20年/30年の従業員を対象に表彰状と記念品を贈呈。 永年勤続旅行制度:勤続15年以上の満50~55歳の社員を対象に旅行費用補助と有給休暇を付与。 |
慶弔給付制度 | 正社員、準社員 | 結婚・傷病・災害・弔慰などの際、慶弔給付を実施。 |
社内融資制度 | 正社員 | 従業員の生活の安定と向上を図ることを目的に社内融資を行う制度。 |
その他 | 正社員、準社員 | 特別休暇(結婚、忌引等)、研修所兼宿泊施設、契約リゾート、各種文化・体育クラブなど。 |
小糸グループでは、従業員の財産形成支援と会社の中長期的な成長の共有を目的に、従業員持株会制度を導入しています。
2024年11月には、奨励金率を従来の5%から10%へ引き上げるとともに、グループとしての一体感の醸成を図ることを狙いに、加入対象者を小糸製作所及び国内関係会社14社の従業員全員まで拡大しました。また、月額積立金の上限も従来の20口(20,000円)から100口(100,000円)までに変更し、従業員持株会制度の改定・充実を行いました。
新制度 | |
---|---|
奨励金付与率 | ・10% (1口1,000円あたり100円) |
月額積立金 | ・1口(1,000円)~100口(100,000円) 但し、本給の10%を超えない範囲 |
対象者 |
・小糸製作所及び国内関係会社14社の従業員 静岡ワイヤーハーネス、榛原工機、静岡金型、コイト保険サービス、ニュー富士、コイト電工、 ミナモト通信、丘山産業の正社員・再雇用者・パート社員、小糸製作所従業員の出向者・出向役員:約7,400名) |
また、2025年4月に小糸が創業110周年を迎えることを記念し、従業員持株会加入者に対して持株会を通じて一人当たり30株の譲渡制限付株式を譲渡することを決定しました。
・従業員持株会を通じて無償で従業員一人当たり30株を付与
・付 与 日:2025年3月7日
・制限期間:2025年3月7日~2027年4月1日
米国子会社では、イリノイ州のブルークロス・ブルーシールド協会との協業により、オンライン診療や薬剤給付など、さまざまな医療プランを従業員に提供しています。また、プリンシパル・フィナンシャル・グループとの協業による退職金積立制度を導入し、退職後の資金繰りに関するプランも提供しています。
欧州の子会社では、食事・通勤手当の支給などに加え、年金制度を導入しています。また、スポーツデー、クリスマスパーティー等の開催や、従業員の子供が夏期・冬期の地域キャンプに参加した際の費用一部負担を実施する等、従業員のモチベーション向上、生活支援諸施策に取り組んでいます。
小糸では、「安全はすべてに優先する」を安全衛生の基本的な考え方として、安全・安心で働きやすい職場づくりを全員参加で目指しています。また、各活動において守るべき行動基準として「安全五訓」を定め、全社に展開しています。
取締役を委員長とする安全環境委員会において、毎月、従業員の安全衛生に関する予防や再発防止対策の指針や重要事項を協議しています。安全環境委員会で協議された内容は、各工場の安全衛生委員会や安全環境協議会、各職場での職場安全会議により従業員一人ひとりまで情報展開される体制を整備しています。
働くすべての人を対象とした「安全ルールを守る人づくり」のための繰り返し教育や防災訓練等を実施、従業員一人ひとりの意識醸成に努めるとともに、職場に潜むリスクを見つける感性を磨くリスクアセスメントと危険予知(KY)を着実に行っています。また、労働災害・交通事故0件を目標に、取締役・所属長自らの現場点検、不安全状態の摘出と対策のやり切りなどの未然防止活動に取り組んでいます。

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
小糸製作所 | 0.18 | 0 | 0 | 0 | 0 |
電気機械器具製造業※ | 0.58 | 0.54 | 0.52 | 0.54 | 0.53 |
労働災害度数率=労働災害による休業者数÷延労働時間数✕1,000,000
※電気機械器具製造業度数率:厚生労働省ホームページより
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
小糸製作所 | 0.01 | 0 | 0 | 0 | 0 |
電気機械器具製造業※ | 0.02 | 0.01 | 0.05 | 0.01 | 0.02 |
労働災害強度率=延労働損失日数÷延労働時間数✕1,000
※電気機械器具製造業度数率:厚生労働省ホームページより
単位 |
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
従業員 | 人 | 762 | 784 | 853 | 852 | 825 |
工事業者 | 人 | 2,243 | 2,456 | 2,515 | 2,044 | 1,354 |
単位 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 全体 | 件 | 1 | 2 | 2 | 4 | 2 |
不休 | 件 | 1 | 1 | 0 | 4 | 2 | |
休業 | 件 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | |
従業員の休業日数 | 日間 | 0 | 82 | 130 | 0 | 0 |
単位 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 件 | 2 | 2 | 3 | 4 | 2 |
労働衛生における5管理(作業環境管理、作業管理、健康管理、衛生教育、衛生管理体制)を基本に、安全で健康な職場づくりを目指し、さまざまな活動を継続的に行っています。
- 作業環境管理
法定の作業環境測定(有機溶剤、特定化学物質、粉じん)を行い、職場環境に問題の無いことを確認しています。
また、熱中症予防のため、啓蒙活動、WBGT(暑さ指数)を測定し、必要に応じて保冷剤、スポーツ飲料の支給を行っています。 - 作業管理
作業方法の決定と遵守状況の観察を行っています。
化学物質による健康障害を防止するために、化学物質を使用する前にはリスクアセスメントを行い、より安全な方法で作業を行うようにしています。 - 健康管理
定期健康診断の受診とその後のフォロー、また特殊健康診断においては職業性疾病ゼロの確認を行っています。
さらに、インフルエンザ感染防止のため予防接種の推奨と希望者全員への接種実施や、食中毒防止のため社内食堂厨房の定期的な衛生点検等を実施しています。
また、管理職を対象とした外部医師によるストレスチェック勉強会や、全従業員に対するストレスチェックを実施しています。 - 衛生教育
有機溶剤、粉じん作業の従事者への教育、緊急時用のAEDの設置と訓練を実施しています。
毎年10月の全国衛生週間には、外部講師による講演会を行っています。 - 衛生管理体制
総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医及び各種作業主任者の選任をし、職場巡視、衛生指導・改善を行っています。
健康面での取り組み事項
- 定期健康診断の実施、受診結果のフォロー
- 希望者を対象としたインフルエンザ予防接種
- 特殊健康診断での職業性疾病ゼロ確認
- 救命講習(AED講習など)
こころの健康の維持・増進に向けた取り組み
メンタル面での不調を未然に防止するため、新入社員や希望者を対象とした「セルフケア」、管理職や係長を対象とした「ラインケア」研修を行っています。2021年度はセルフケアは延べ167名、ラインケアは延べ76名が受講しました。
全従業員を対象としたストレスチェックを毎年実施し、セルフケアを促すとともに、本人の希望等により個別面談などのフォローも行っています。
また、メンタルヘルス等に関して電話で相談できる外部窓口を設置し、従業員の支援制度充実を図っています。
衛生面での取り組み事項
- 化学物質の危険性・有害性理解のための教育研修
- 有機溶剤・粉塵取扱者への特別教育実施による災害・健康障害の防止
- 全国労働衛生週間に衛生講演会を実施
- 食堂での集団感染予防活動(衛生点検など)
小糸では、人材の育成にあたり、主に階層別教育、専門教育、及びグローバル教育を実施しています。
階層別教育は、資格・役職別にマネジメント研修を行い、専門教育では、AI、IoT、センサ等難易度の高い教育を含め社内外211講座を実施しており、延べ6,335名が受講しています(2021年度実績)。
また、グローバル教育では、異文化研修、eラーニング、現地語教育等、語学教育にも力を入れています。
小糸は、さまざまな変化に対して積極的にチャレンジする人材を求めており、課題解決に向けたアプローチ(行動)や達成度(成果)を適正に評価し、従業員一人ひとりの働きがい向上に取り組んでいます。
評価制度においては、新たな視点や発想で新技術・新製品開発などに取り組む「チャレンジ」、部門の垣根を超えて対話・連携・協業し、グループ全体で成果創出を目指す「コミュニケーション&コラボレーション」など、会社のビジョンやキーワードを評価対象とする事で、働きがいの向上と人材育成の促進に取り組んでいます。
報酬制度においては、能力やスキルを基準に処遇し、評価結果に応じた昇給を取り入れるとともに、賞与についても、成果・実績を適正に反映する体系としています。
この評価・報酬、更には人材育成が一体となった取組みにより、従業員のモチベーション向上、公平な処遇に努めてまいります。
従業員一人ひとりが、各人の能力を最大限発揮し、高い生産性とモチベーションを維持・向上できるような職場環境を形成するためには、労使相互の強固な信頼関係が必要不可欠です。
小糸の従業員により構成される「小糸製作所労働組合」(組合員3,878名)は、上部組織である「JAM静岡」に加盟しています。小糸は、小糸製作所労働組合との労使協議会を原則毎月開催し、業績の概要や労働諸条件等の課題について協議しています。