コンプライアンス・リスクマネジメント

基本的な考え方

小糸は、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けるために、「小糸グループ行動憲章」において「関係法令等を遵守し、公正、透明、自由な市場競争ならびに適正な取引、責任ある調達を行う」こと、「グローバルな企業活動においても、国際ルールや現地の法令遵守はもとより、文化や習慣を尊重し、政治、行政との健全な関係を保つ」ことを定めています。また、「コンプライアンス」の強化をマテリアリティ(優先課題)の一つと定め、コンプライアンスを重視する組織・風土づくりを進めるべく、全社一体となりコンプライアンスに関する取り組みを推進しています。 

また、多様化・複雑化するリスクを適切に把握し、リスク顕在化の未然防止や発生時の被害を最小化するために、総合的なリスク管理の充実・強化に取り組んでいます。

コンプライアンス活動の推進体制

小糸では、コンプライアンス体制を強化するため、「コンプライアンス委員会」、「コンプライアンス推進室」、「内部監査室」、「内部通報窓口(企業倫理相談窓口)」を設置しています。コンプライアンス委員会は、定期的に開催され、コンプライアンス推進室や内部監査室の活動計画や実績、企業倫理相談窓口の運用状況、リスクへの対応等を確認、及びフォローしています。 
また、国内外の関係会社に対しても、各社にコンプライアンス責任者を設け、緊密に連携してコンプライアンスの強化や遵守状況を把握する等、グループ全体でコンプライアンスに関する取り組みを推進しています。 

コンプライアンス強化への取り組み

コンプライアンス意識の醸成

小糸では、「小糸グループ行動憲章」が従業員の行動基準となるよう、全従業員に携帯用カード「Ethics Card」を配布する等、コンプライアンス意識の醸成に努めるとともに、全従業員を対象に「小糸グループ行動憲章」の認知・理解・実践度を測る「企業倫理調査」を毎年実施し、結果を取締役会やコンプライアンス委員会に報告しています。
2021年度の調査結果においては、「小糸グループ行動憲章」の認知度が97%、「お客様の満足と信頼を獲得するように行動」、「関係する法令や社内ルールを遵守」、「人権を尊重」している従業員の割合が100%などと、高い水準を保持しています。  

コンプライアンス教育

小糸では、階層別研修の中で、従業員を対象にコンプライアンスに関する教育を行うほか、独占禁止法やハラスメントといったテーマ別研修も行っています。外部の講師を招いた役員・部課長向けコンプライアンス研修会を開催するなど、役割や職務に応じて、さまざまな研修を行っています。
また、仕入先に対しては、調達方針説明会においてコンプライアンスの徹底を要請するとともに、仕入先向けコンプライアンス研修会を毎年開催しています。 

ハラスメント防止への取り組み

小糸では、全従業員を対象としたハラスメント調査を定期的に実施しています。調査では、上司(部課長などの管理職、及び係長班長などの管理監督者)の職場での振る舞いを部下が評価、上司は評価結果を踏まえて自身の認識との差異など、実態を把握し、「ハラスメント撲滅 私の誓い」を策定・掲示することで、ハラスメントの未然防止に努めています。

腐敗防止への取り組み

腐敗防止に関しては、「贈収賄防止規定」を制定するとともに教育を行い、贈収賄、強要・ゆすり、詐欺、横領・着服、マネーロンダリング、利益相反、政党への不法融資やファシリテーション・ペイメント行為などの防止に取り組んでいます。
なお、法令違反等があった場合の処罰については社内規定に明記しています。
2021年度に腐敗に関しての罰金、解雇等の事例はありませんでした。 

反競争的行為の防止

独占禁止法並びに下請法に関しては、「独占禁止法コンプライアンス規定」を制定するとともに、定期的に教育を行い、市場分割、価格操作、受注調整、優越的地位の濫用、不当廉売などの反競争的行為の防止に取り組んでいます。
小糸の従業員が競合他社と接触する場合は、事前審査と事後の確認を実施し、独占禁止法への抵触が疑われるような行為の防止を徹底しています。
内部監査については、内部監査部門が監査役立会いの下、独占禁止法・下請法の関係部署に対して毎年実施し、結果をコンプライアンス委員会に報告しています。監査の際に問題等が見つかった場合は改善内容なども報告しています。
なお、法令違反等があった場合の処罰については社内規定に明記しています。
2022年度に反競争的行為に関しての罰金、解雇等の事例はありませんでした。

内部通報制度

小糸では、コンプライアンスやハラスメントに関して通報・相談できる「企業倫理相談窓口」を社内及び社外(法律事務所)に設置しています。通報・相談されたすべての案件を調査した上で適切な処置を行い、取締役会やコンプライアンス委員会に報告しています。
「企業倫理相談窓口」の運用に際しては、利用者が安心して通報・相談できるよう、通報・相談者のプライバシー保護や不利益の防止など、人権への配慮を徹底しています。通報・相談者へ不利益な取り扱いをした場合の罰則等については、社内規定に明記しています。 

相談件数の推移(件)

  2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
社内窓口 22 25 32 36 42
社外窓口 1 0 3 1 4

リスク管理体制

リスク管理は、その低減及び回避のための諸施策の実施と日常の管理を、社内各部門が分担して担っています。製品の安全等のリスクは品質保証部、サプライチェーン上のリスクは調達本部、自然災害等のリスクは安全環境部等といったように、各部門で関連するリスクのアセスメントを実施し、対策を講じており、その本部長は責任部署担当役員が務めています。加えて、各リスクに関する従業員への研修を実施しています。
万一リスクが現実のものとなった場合は、経営の最高意思決定機関である取締役会へ報告され、経営トップの指揮のもと迅速・適切な対応を図ることを基本としています。 

自然災害リスク

小糸は、「人命最優先、事業継続性の維持」を基本方針として、東日本大震災や熊本地震、豪雨や台風等、自然災害の教訓に加え、南海トラフ地震の被害想定等に基づき、減災・初動・復旧対応を検証、課題を見つけ出し、対策の見直し・強化を図っています。
地震等の自然災害に対しては、工場建屋の耐震補強や設備、什器の転倒防止対策、緊急地震速報システム導入などに加え、避難や消火活動の定期的な防災訓練、全従業員の安否確認運用訓練や、避難経路確保の維持・管理状況の総点検を行っています。
また、豪雨や台風から身を守るためのハザードマップ確認方法や避難方法等の講演開催により、災害被害の極小化に取り組んでいます。
火災発生未然防止策としては、有機溶剤などの危険物や可燃物の管理徹底に加え、万一の火災発生を想定した消火設備の増設や配置見直し、初期消火のための消火訓練の実施により、迅速な消火ができる体制強化に取り組んでいます。
更に、関係会社や仕入先に対する現地での安全・防火・防災点検の実施、国内関係会社同士で互いの工場を点検、改善しあう「関係会社安全相互点検」などにより、グループ及びサプライチェーン全体で安全・防火・防災レベルの向上に努めています。 

可搬ポンプを使用した消火訓練

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静岡県中部地域局によるオンライン防災講演会

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