サプライチェーンマネジメント

基本的な考え方

すべての事業活動を通じて「人と地球にやさしいものづくり」を実践するためには、サプライチェーン全体を通じて、社会的責任を果たすことが重要であると考えています。このため小糸では、仕入先と協働しながら、社会からの要請や期待に応え、お客様へ高品質なサービスを提供できるよう、調達方針を策定しています。
また、仕入先には個別にコスト、品質、労働災害「ゼロ」等の期待値を説明し、協業で達成に向けた活動を展開しています。
小糸は、ものづくりにおいて仕入先との緊密な関係を大切にしながら、サプライチェーン全体を通して持続可能な社会の実現を目指しています。 

調達方針

小糸グループは、安全・品質・商品力をキーワードに、次の4項目を重点に調達活動を推進しています。

魅力的な先進技術製品の早期開発とグローバルでの事業体制強化

小糸グループは、交通社会の安全・安心に貢献する魅力的な先進技術の開発推進のため、新技術・新工法・新規部品開発技術を有する調達先を調査・開拓するためのマーケティングを実施します。
小糸グループは、グローバルネットワークを活用した情報共有・仕事のやり方の革新により、受注・開発・生産体制の強化を図ります。

構造・工法・仕様見直しによるコスト改革とものづくり追求による競争力の再構築

小糸グループは、製品構造・工法・仕様の見直しによるコスト改革に取り組むとともに、ムダ・ムラ・ムリの洗い出しによる改善活動の実行など ものづくりを追求し、競争力強化を図ります。

不具合の真因追求、現場力の強化によるお客様が満足する品質実現

小糸グループは、安全かつ高品質な製品・サービスを開発・提供し、お客様の信頼を獲得するため、サプライチェーン全体での品質保証体制の拡充を図ります。
小糸グループは、サプライチェーン全体での品質向上に向け、不良・不具合を発生させない体制づくりに取り組みます。万一不具合等が発生した場合には、仕入先とも協働し真因を追求、再発防止に取り組みます。

リスク管理徹底による企業体質の強化(災害の未然防止、BCP活動強化、SDGsへの貢献)

小糸グループは、不測の災害等発生時においても従業員などの生命・安全を確保するとともに、製品の安定供給を維持するため、仕入先と協働して、あらゆるリスクを想定し災害・被害の未然防止等に取り組みます。
小糸グループは、安全・安心への貢献や地球環境保全・人権の尊重・コンプライアンス推進などSDGsの視点を取り入れた調達活動を推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。

取引先との連携強化・共存共栄等に向けた取り組み

KOITOは、取引先との連携強化・共存共栄を図るとともに、サプライチェーン全体で社会の持続可能な成長に貢献するため、2022年3月、「パートナーシップ構築宣言」を策定・公表しました。
今回の宣言にあたりKOITO独自の取り組みとして以下の個別項目を明示しています。

  • 自動車・モビリティの変革に対応すべく、オープンイノベーション加速に向けた他社との連携を強化します。
  • ITを活用した情報共有やデジタル化を進め、関係する取引先との業務効率の向上を図ります。

サプライヤーとの品質向上の取り組み

調達方針説明会

KOITOは、毎年5月に仕入先を対象とした調達方針説明会を開催し、KOITO VISION、中期経営計画、社長方針に基づく重点取組事項を説明しています。
重点取組事項には、サプライチェーン全体での企業基盤強化を図るための安全・防火/防災の徹底やリスクマネジメントの強化、持続的な成長としての新規事業への対応、地球・社会との共生としてのESG推進などがあります。品質に関しては、納入不良件数ゼロ達成に向けた品質改善指導等の取り組みの強化について説明を行い、理解を深めていただいています。
2024年5月に実施した調達方針説明会には、年間1億円以上の取引を行っている仕入先を対象に開催し、総購入額の約95%に相当する仕入先が参加しました。

仕入先情報連絡会議

仕入先との情報共有を目的に、仕入先情報連絡会議を毎月開催しています。この会議では、生産動向や仕入先からの納入品質状況・発生不良に対する対策事例、カーボンニュートラルへの対応や防火/防災活動に関する情報発信を行っています。また、仕入先からも品質向上活動や原価低減活動の報告を受け、相互に情報を共有しています。

品質教育講座

協同組合小糸製作所協力会会員74社、及び非会員16社、計90社を対象に、公募型の品質教育を年に2回開催しています。
講座では、QC的な視点や考え方、統計的品質管理の基礎から応用までの教育を継続的に実施し、品質管理への理解を深めています。また、KPS(小糸生産方式)の基礎と実践教育の中で、不具合を発生させない作業要領書の作成など、ものづくりにおける品質指導も行っています。

同業種分科会

同業種(成形、組立、基盤、コードなど)の仕入先を集めた「仕入先業種別分科会」を定期開催しています。本分科会では、各仕入先が競合企業であることを踏まえ、コストや秘匿情報は共有しないことを宣言した上で、品質向上活動の事例、不具合事例、再発防止のポイントを共有・討議しています。この取り組みにより、優れた取り組みの横展開を促進し、品質改善の動機付けを図っています。

調達における品質確保の取り組み

KOITOは、約450社の取引先から製品、部品、材料を調達しております。当社の品質向上には、これらの購入資材の品質確保が不可欠であるため、厳しい基準に基づいてチェックを行っています。

一次仕入先については、毎年、取引調査票を用いて調査を実施しています。この調査では、仕入先の財務状況や決算情報、設備の状況、販売情報に加えて、ISO9001やIATF16949などの外部認証の取得・更新状況も確認しています。安定供給に懸念がある場合は、仕入先と共に対策を検討し、改善に向けた取り組みを行っています。

二次以降の仕入先で品質問題が発生した場合、KOITOの社員が生産現場を訪れて状況を把握し、一次仕入先と協力して改善活動を行っています。

また、当社、及び仕入先が使用する全ての原材料については、品質基準を設け、製造ロットごとに原材料の製造元が「統計データ」または「試験成績書」を作成しています。各製造部の受入検査担当者は、これらを受領し、当社基準に適合していることを確認します。万一基準を満たさない場合は、原材料の製造元に是正措置を求めることとしています。

品質向上のための人材育成

・新入社員品質教育
新入社員全員に対し、良いモノづくりの心構え、品質管理、工程管理、問題解決手順などを含む「新入社員ものづくり教育」を実施しています。
・階層別品質教育
2年目以降の中堅社員から管理職を対象に、QC的な視点や考え方、統計的品質管理の基礎から応用までを含む「階層別品質教育」を継続的に実施し、品質管理への理解を深めています。
・製造現場における教育プログラム
良質な商品を確実にお届けするためには、現場での技術や技能を常に向上させることが必要です。小糸では、生産部門の従業員がモノづくりの基本である技術・技能を継続的に高められるよう、入社時から監督者になるまで、積極的な品質向上教育を実施しています。
・QCサークル(小集団改善)活動
静岡の4工場では、すべての組合員がQCサークル活動を実践しており、改善事例発表会(QCサークル大会、FQC大会、スタッフQC大会)を定期的に開催して、日々品質改善活動に取り組んでいます。

製品の性能確保

性能確保のための製品テスト

KOITOは、明るい光を発する製品を提供しています。安全・安心・高品質な製品をお客様に提供するため、製品開発から量産までの各段階において、さまざまな環境下で製品テストを実施しています。また、市場から寄せられた新たな指摘については再現検証を行い、新たなテスト項目に追加することで、品質向上に努めています。

新技術投入に係る製品テスト

新技術の投入時には、複数の部門が協力してFMEAを実施し、想定し得るすべての品質リスクを抽出して、不具合の未然防止に努めています。環境試験機については、新製品のサイズや重さ、新製品の特徴や仕様に合わせて、適切かつ迅速に試験設備を導入し、製品テストを行っています。

FMEA:Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析

製品の品質リスクの予防措置

品質リスクの予防措置については、品質保証部が主体となり、積極的に取り組んでいます。開発段階では、関係する各部門が自部門の業務プロセスが確実に完了していることを監査し、プロセスの抜け漏れを防止することで、リスクの未然防止活動を推進しています。

サプライチェーンにおけるCSRの強化

小糸では、調達方針説明会等を通じて仕入先にCSRの取り組みを理解いただくとともに、随時、相談を受け付けています。毎年開催の調達方針説明会では、仕入先の外注先も含めた法令遵守の徹底をお願いしています。万が一仕入先などにおいて法令違反の事例があった場合は、小糸に情報を展開いただき、コンプライアンスを推進する体制を整えています。
また、毎年環境認証取得状況などを確認しており、2021年度は約430社を対象に調査を実施しました。環境負荷物質については、防火防災点検時に有機溶剤の管理体制・使用量につき確認しています。万が一管理体制等に問題があった場合は、改善計画書の提出をお願いし、フォローを実施しています。 

小糸のCSRの取り組み

  1. 自動車産業適正取引ガイドラインに基づく対応
  2. 環境負荷物質の含有継続調査
  3. 紛争鉱物年次継続調査
  4. 人権/労働に関する法令等の遵守徹底
  5. コンプライアンス全般に関する徹底(反社会的勢力排除の契約書締結など)

小糸グループとお取引いただく仕入先には、持続可能なサプライチェーンの実現に向け、環境・社会面において実施をお願いしたい事項を定めています。 

環境面でのお願い事項

  • ISO14001やエコアクション21などの外部認証取得
  • RoHS指令に基づく特定物質の使用禁止
  • REACH規制に基づく物質に関する透明性確保
  • 製品に含有されるナノ物質のトレーサビリティの確保
  • 自動車業界における主要課題に対する環境方針の策定

社会面でのお願い事項

  • 児童労働、強制労働、差別の撤廃
  • 安全労働衛生の推進
  • 適正な給与・労働時間の確保
  • その他非人道的行為の防止
  • 鉱物の責任ある調達

公正な調達活動の推進

 小糸では、公正な調達活動の一層の強化に向け、関係管理部門の従業員、及び下請事業者の仕入先を対象に定期的に「下請法研修会」を実施しています。2021年度は延べ314名が受講し、関係者の調達活動に関する知識の向上に努めています。 

紛争鉱物対応

コンゴ民主共和国とその周辺国において採掘される一部の鉱物が、人権侵害等を行う武装勢力の資金源となっていることが国際的に問題視されており、米国では、金融規制改革法(ドッド=フランク法)において、当該地域を原産とするスズ、タンタル、タングステン、金の4種の鉱物を「紛争鉱物」と定義し、使用状況を毎年調査し、情報公開等を行うことが義務付けられました。
小糸においても、人権侵害や環境破壊等への加担を回避し、サプライチェーン全体を通じて、社会的責任を果たすため、紛争鉱物年次調査を継続的に実施し、仕入先とともに、紛争鉱物の使用回避に向けた取り組みを実施しています。また、新規仕入先と取引を行う際には、紛争鉱物調査結果を十分に精査し、取引実施につき検討しています。